社員の定着に欠かせないオンボーディングとは?

当記事では、オンボーディングの必要性について解説していきます。

この記事を読むことで、以下の理解が深まります。

  • オンボーディングの定義と重要性
  • オンボーディングの効果と取り組み方
  • オンボーディングで意識するべきこと

「社員を新しく雇ってもあまり定着してくれない」

もしそう考えているのであれば、オンボーディングという施策を取り入れると良いでしょう。

オンボーディングとは、新入社員に向けて短期的なオリエンテーション研修ではなく、長期的なサポートや価値観の共有を行い社内に定着してもらうためのプログラムです。

新入社員が定着しない理由としては、自社に定着してもらうためのサポートや情報提供ができていないからだとされています。

新入社員を迎えてもオンボーディングを行わなければ

  • 早期離職
  • 仕事へのモチベーション低下
  • 帰属意識、エンゲージメントの低下

につながりかねません。

新入社員が企業にいち早く馴染んで活躍するためにも、オンボーディングの意味と役割について理解を深めていきましょう。



オンボーディングとは

オンボーディングとは

オンボーディングとは、新卒や中途で入社した新入社員が、早期に活躍できるような施策やプロセスのことです。

語源は、アメリカで新入社員に「Welcome on board!」(訳:乗船してくれてありがとう!)という声かけをすることだと言われています。

新入社員に対して入社を歓迎する挨拶として使われているそうです。

このことから、仲間として受け入れる姿勢を表す「オンボーディング」という言葉が誕生したと言われています。

オンボーディングは、新人研修と思われがちですがそれだけではなく、

  • 情報提供
  • 価値観の共有

といったことも含まれています。

具体的には、

  • 部署やチームに早く馴染めるようなサポートをする
  • 新入社員一人ひとりに、業務に必要な知識やスキルを提供し活躍の場を与える

といったことを重要視しています。

「教える」というよりは「やり方や情報をシェアする」というニュアンスで捉えると良いでしょう。

業務内容をシェアするだけでなく、

  • 社内の評価制度
  • 企業のミッション、ビジョン
  • マネジメント層の仕事の仕方
  • 他部署、組織、チームの人間関係

など、その企業に関わるすべてのことを「シェアしていく」というのがオンボーディングの考え方です。



オンボーディングの期待される効果

オンボーディングの期待される効果

オンボーディングを行っていくことで、以下の効果が期待できます。

  • 採用に関わるコストの削減
  • 社員の成長促進
  • 社員のエンゲージメント向上

それぞれについて詳しく解説します。



オンボーディングの効果①:採用コストの削減

オンボーディングを取り入れることで、採用に関わるコスト削減の効果が期待できます。

なぜなら「会社に馴染めない」などの職場環境への不満による早期離職を防ぐことにつながるからです。

早期離職が多ければ多いほど、人材確保にかかるコストが増えてしまいます。

ですが社員の定着率を向上できれば、早期離職による採用コストの無駄を減らせることになるのです。



オンボーディングの効果②:社員の成長促進

オンボーディングの効果②:社員の成長促進

オンボーディングを行うことで、新入社員の成長スピードと社内全体の生産性を向上させることが期待できます。

新入社員が早くから活躍できるようにあらゆるサポートを行い、スキルや知識、情報をシェアしていくことで、戦力になってくれるまでの期間が比較的短くなります。

また新入社員といえど、一定の期間をすぎれば、比較的早い段階で重要な仕事に携わることも可能です。

新入社員が入社後すぐに戦力として独り立ちすると、指導者の研修時間やOJTに関わる時間を削減できるので、会社全体で生産性向上が期待できるのです。



オンボーディングの効果③:社員のエンゲージメント向上

オンボーディングは、社員のエンゲージメント向上にも有効だと言えます。

オンボーディングでは、情報提供や価値観の共有を重要視しているため、自ずと社員間のコミュニケーションが活性化されます。

コミュニケーションが活性化されることで、社内の雰囲気や文化に馴染むことができたり、仕事のやりがいを見つけられたりと帰属意識の向上が期待できます。

オンボーディングを取り組むことで、社員が組織内部の理解を高めるだけでなく、仕事に対するモチベーションや幸福度の向上も期待できるでしょう。



オンボーディングの取り組み例

オンボーディングの取り組み例

ここから先は、オンボーディングの取り組み方について解説していきます。

例として、以下が挙げられます。

  • メンターメンティー制度
  • 社内イベントを開催する
  • 教育体制を充実させる
  • 1on1(ワンオンワン)

それぞれについて詳しく見ていきましょう。



オンボーディングの取り組み例①:メンターメンティー制度

メンターメンティー制度とは、先輩社員(メンター)と新入社員(メンティー)がペアになり、仕事やプライベートの悩み、不安を相談できる制度です。

従来のOJTや新人研修と違い、業務指導を行う場ではありません。

あくまで相談を通して交流を深め、新入社員の悩みや不安を解決することを目的としています。

メンターメンティー制度によって、新入社員は仕事だけでなく、メンタル面でのアドバイスを気軽にもらえるようになります。



オンボーディングの取り組み例②:社内イベントを開催する

オンボーディングの取り組み例②:社内イベントを開催する

社内イベントを行うのも、オンボーディングの取り組みの1つです。

社内イベントを行うことで、新入社員を含む全社員が活発にコミュニケーションできるようになるでしょう。

他部署の社員との交流も増えるため、お互いに良い刺激をもらい、新しい関係性を構築も期待できますね。



オンボーディングの取り組み例③:教育体制を充実させる

オンボーディングでは、教育体制を充実させることも重要視していくと良いでしょう。

社員の定着率を高めるためには、社員一人ひとりが成長を実感しやすい組織づくりが大切です。

そのためには、社員一人ひとりがスキルアップできるような環境整備が必要です。

たとえば

  • 社員間で知識やスキルを共有できる組織づくり
  • スキルアップや成果に対する評価制度の構築

などが挙げられます。

社員が成長を実感できる職場環境にすることで、エンゲージメントを向上させることができ、結果的に社員の定着率を高めることにつながるのです。



オンボーディングの取り組み例④:1on1(ワンオンワン)

オンボーディングの取り組み例④:1on1(ワンオンワン)

1on1(ワンオンワン)を取り入れてみるのも良いでしょう。

個人面談だけでなく、改めて1on1を取り入れてみるのです。

個人面談とは

  • 人事評価面談または目標設定面談のこと
  • 年に1〜2回実施する企業が多い


1on1とは

  • 社員一人ひとりの成長をサポートする時間
  • 2〜3ヶ月に1回など、個人面談よりも頻度は多い傾向がある


業務に対しての悩みや疑問をその場で相談できるだけでなく、今後の目標や将来のなりたい姿などをフランクな雰囲気で話す時間です。

社員自らが話すことで、会社と自分自身のことを改めて理解することができるので、仕事へのモチベーションやエンゲージメントの向上が期待できるでしょう。

聞き手(上司や人事担当)は、その社員の抱える問題や考えを理解し、今後のサポートにつなげることもできます。



オンボーディングの課題

オンボーディングの課題

魅力的なオンボーディングではありますが、コロナ禍を経て課題点が浮き彫りになってきていることも理解しておいてください。

コロナ禍以前は、対面でのコミュニケーションが一般的でした。

ですが、テレワークやオンライン化が進んだことで、対面でのコミュニケーションが不足しがちになっています。

社員間の距離感も離れている傾向にあり、連携が必要な新入社員へのサポートも不十分になっているのが現状です。

その点から、オンボーディングの課題点として以下が挙げられることも理解しておきましょう。

  • 既存社員と企業の関係構築が難しい
  • 業務以外のコミュニケーションが少ない

それぞれについて詳しく解説します。



オンボーディングの課題①:既存社員と企業の関係構築

新入社員に対してオンボーディングを実施するのであれば、まずは既存社員と企業との関係構築が必須になります。

そして関係構築は、決して短期間で行うことはできません。

コロナ禍ではさらに、既存社員との関係構築が難しくなっているのが課題点です。

ですが新しい人材を確保し、定着させていくには、既存社員の帰属意識を高めておくことが重要です。

長い時間をかけてでも既存社員との関係構築を築いていくことがいかに重要か、ここで理解しておきましょう。

たとえば、たとえテレワークを導入していたとしても、

  • コミュニケーションの場を設ける(週数回出社するなど)
  • テレワークと出社を併用したスタイルにし、出社時は積極的にコミュニケーションを取る

などの対策が効果的です。



オンボーディングの課題②:業務以外のコミュニケーションが少ない

テレワークやオンライン化が進んだことで、業務以外で新入社員と交流する時間が確保しにくくなっています。

コミュニケーションが取りにくいことで、新入社員へのサポートを充分に行うことが難しくなっている点が、現状におけるオンボーディングの課題点です。

解決策としては

  • 入社して数週間は出社してもらう
  • オンラインで社内イベントを行う
  • テレワークと出社を併用したスタイルにする
  • オンボーディング専門の共有ツール(掲示板など)を活用する
  • チャットツールなどを使ってでメンターメンティー制度を継続させる

などが挙げられるでしょう。



まとめ

社員の定着率を向上させるオンボーディングは、以下を意識しましょう。

  • 既存社員と企業の関係構築を先に整える
  • 新入社員が企業に馴染みやすくなるよう教育体制を整える
  • オンラインでできる施策を用意する

オンボーディングは、多くの既存社員と一緒に、さまざまな視点を持って長期的に新入社員をサポートしていく取り組みです。

オンボーディングに成功すれば、社員の定着率が向上し、帰属意識の高い企業へと成長するでしょう。

新しい人材を採用してもすぐに離職しないことは、企業にとって非常に有益なはずです。

オンボーディングを上手に取り入れて企業のその後の成長につなげていきましょう。

関連記事

TOP
TOP