採用のミスマッチはなぜ起こるのか?求職者と企業側の思考を解説


採用活動を進める上で担当者が頭を抱える問題としては、応募者を獲得する母集団の形成が挙げられます。少子高齢化により働き手が不足していることや、大企業や人気企業に求職者が偏ってしまうことから問題が発生します。

また、最近では採用後のミスマッチによる離職率の増加が問題として挙げられるようになりました

せっかく入社してもらうことができても、離職してしまうと人材不足に陥ったり、採用費が無駄になってしまったりするなどの問題が起こります。

今回はなぜそうした状況が起こってしまうのかについて、求職者と企業側のそれぞれの思考について解説していきます。

採用のミスマッチが起こる原因


説明会や会社説明会、複数回の面接など、入社までには様々なステップがあります。それではなぜその選考を通過した人材がミスマッチとなってしまうのでしょうか。

そこにはいくつかの理由がありますが、特に「求職者の認識の齟齬」と「企業側の情報不足」が挙げられます。具体的にどのようなものなのか、解説していきます。

求職者と企業側の認識の齟齬

まず1つ目は、求職者の認識の齟齬により引き起こされるものです。たとえば仕事内容が自分の想像していたものとちがっていた場合や、昇給や昇格などのキャリアップ制度が想像とちがっていた場合などがあります。

通常こうしたことが起こらないように、説明会や面接を通してしっかりと説明をおこないます。また、内定を伝える際にも条件面について詳しく説明をおこなうのが一般的です。

そのため企業側としては、十分に情報を伝えているという認識になりますが、求職者側との認識のズレが起こってしまう場合があります。

その際に求職者が質問をしたり、企業の担当者がフォローをしたりしていた場合には、認識の齟齬も避けられる可能性が高まりますが、そうしたものがない場合には高確率で認識の齟齬が発生します。

特に新卒入社の場合には、働くことに対するイメージや期待感が大きいため、認識の齟齬が発生しやすくなります。そのため事前のすり合わせによる理解の促進を十分にするようにしましょう。

企業側の情報発信不足

2つ目は、企業側の情報不足により引き起こされるものです。企業が採用広報活動をおこなう際には、求人票や自社のコーポレートサイト、紹介会社を利用して情報を発信しています。

最近ではTwitterやInstagram、FacebookなどのSNSを利用する企業も増えてきました。ところが企業側が発信する情報には、求職者目線になっていない場合も多くあります。

また、良い部分ばかりを発信しすぎてしまう場合もあり、それもまたミスマッチを引き起こす大きな要因の一つです。求職者は企業が発信している情報のほかにも自身で情報を収集しますが、やはり企業が発信している情報への信頼性は高いものです。

そのため、良い情報ばかりではなく、デメリットになる部分も発信すると良いでしょう。

採用のミスマッチを防ぐ方法


それではどのようにして採用のミスマッチを防げばよいのでしょうか。一人を採用するにも大きな採用費がかかっています。そのため、ミスマッチからの離職は是が非でも下げていかねばなりません。

今回は、「コーポレートアイデンティティの発信」、「所属社員の紹介」、「社内情報の発信」の3つを解説していきます。

コーポレートアイデンティティの発信

まず1つ目は、コーポレートアイデンティティの発信です。コーポレートアイデンティティとは、企業の自己同一性のことで、企業自体の特性や個性などを明確にすることで、イメージの統一を図るための手法です。

経営理念や企業のロゴなどが、コーポレートアイデンティティに含まれます。採用活動においては、業務内容や特異性、強みの発信が大切です。

現在では、非常に多くの企業が乱立し、差別化が難しい業種もあります。しかしながら、自社の業務を深堀りしていくと、必ず他社との差別化要因が見つかります。

それについて言語化し、何度も発信していくことで強みになり、差別化にもなっていきます。そのため、まずは自社の魅力について棚卸しをおこない、コーポレートアイデンティティを発信していくと良いでしょう。

既存社員の紹介や社員インタビュー

2つ目に、所属社員の紹介の実施です。求職者は、一緒に働く社員がどのような人なのかを気にしています。しかしながらそうした情報はあまり公開されておらず、求職者は十分な情報量を手に入れることができません。

そのため入社後に働く社員が理想とちがっていたという理由から、離職につながってしまうことがあります。そこで社員インタビューを通して、なるべく多くの情報を発信すると良いでしょう。

そうした情報は求職者にとって、働く場所について具体的にイメージできる重要な情報になります。それにより、入社後に人間関係に悩むリスクの減少も期待することが可能です。

外部からは見えにくい社内情報の発信

3つ目に、社内情報の発信が挙げられます。求人媒体からの情報では、必要な情報が不足してしまう可能性が高まります。理由として、求人媒体における求人票のフォーマット制約があるためです。

多くの媒体では、入力できるフォーマットや文字数を独自で設定しています。そのため、本当に伝えたいことが伝えられなかったり、文字数の関係から文章を短くしないといけなかったりするなどの問題が発生します。

その結果、発信する情報が不足してしまうことに繋がります。そこで自社採用サイトを制作したり、SNSを利用したりすることで情報の不足を補うと良いでしょう。

自社採用サイトの場合には、発信するすべての情報を決められるため、情報の不足をなくすことが可能です。

一方でSNSでは、採用サイトで伝えきれなかった情報の補足や、写真をメインで使用し雰囲気を伝えるように運用すると効果的です。特にSNSは若年層での利用が多いため、転職潜在層へのアプローチも可能です。

求職者の入社前後のギャップを少しでも埋める


就職した後に離職されてしまうことを防ぐには、求職者の入社前後のギャップを少しでも埋めることが大切です。

求職者は就職や転職に対し、少なからず不安を抱えているものなので、そうした不安を払拭するためにできるだけ多くの情報、そしてメリットだけでなく、デメリットも伝えることでギャップによるミスマッチの大半は防ぐことができます。

そのために、求職者がどのような情報を欲しがっているのか、退職してしまう社員にはどのような傾向があるのかなど、徹底的に分析する良いでしょう。

まとめ

今回は採用のミスマッチはなぜ起こるのかについて、求職者と企業側の思考を解説してきました。

まずは求職者が求める情報と企業が発信したい情報には差があることの認識をし、求職者目線に立った情報を発信していきましょう。また、自社の強みなどの情報の棚卸しをおこなうことも大切です。

採用活動が難しくなっている今だからこそ、ミスマッチによる離職は減らしていかなければなりません。採用には多額の費用がかかっているので、ミスマッチによる早期離職は会社の運営にも大きな影響を与えます。

今回の記事を参考に、求職者に対する情報の発信について見直してみてはいかがでしょうか。

松尾優希

松尾優希

片田舎に住むマーケティングディレクターであり2児の父。スーパー戦隊シリーズとウルトラマンシリーズ、ウイイレ、無双シリーズが大好き。カフェインとカロリーが好物。

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