働き手の不足から、多くの企業が人材不足に陥っています。そのため、各企業は採用活動に力を入れ、企業説明会の実施や採用ホームページの作成など、様々な取り組みをおこなっています。
そのような中、最近注目されているのが「採用広報」です。これまでの採用活動は、求人媒体に求人票を掲載し、応募を待つという「待ちの採用」でした。
しかし、それでは十分な人材が集まらないため、自社の情報を積極的に発信し、潜在層にも働きかけていくのが「採用広報」です。
企業側から積極的にアプローチをおこなうため、「攻めの採用」とも言われます。今回は、採用広報活動について、様々な角度から解説していきます。
目次
採用広報活動は誰の仕事
そもそも採用広報活動は誰の仕事でしょうか。
「広報」がつくので、広報に関係する部署、または「採用」がつくので、人事部でしょうか。正解は、人事部になります。
採用広報では、主に採用に関する自社の情報を求職者に向けて発信します。そのため、通常の広報活動とはターゲットも異なるので、人事部が担当します。
会社によっては、採用担当者が別途所属している場合もあるため、その場合には採用担当者がおこなうことになるでしょう。
人事の仕事は人材の採用だけではない
人事の仕事は人材の採用だけに思われることもありますが、実際には非常に多岐に渡ります。
採用活動だけをしていては会社がまわらなくなりますし、人員配置や評価制度作りなど、会社の中枢をなします。
そしてそれらの活動をしているからこそ、どのような人材が必要で、どのような情報を発信すべきかも理解することができます。
それらの実践から得られた知見や考えも発信していくと良いでしょう。
採用広報の主な活動内容とは
それでは具体的に、採用広報の主な活動内容を見ていきましょう。採用広報と一口に言っても、その活動内容は多岐に渡ります。
その中から今回は、「採用広報の目的は会社を知ってもらうこと」について紹介していきます。
採用広報の目的は会社を知ってもらうこと
まず、採用広報の目的は会社を知ってもらうことです。どれだけ大きな企業でも、求職者に認知されていなければ応募も集まりません。
そうなると人材採用は成功しません。そこで大切なのが、会社の魅力を知ってもらうこと、そして会社を認知してもらうことです。
そのために活動をおこなうのが、採用広報になります。最近は一般的になってきた採用広報ですが、まだまだ導入している企業は多くありません。
そのため今のうちに取り入れると、他社よりも優位に立てるようになるでしょう。
中途採用や新卒採用で採用広報の方針は大きく異なる
採用広報ですが、中途採用か新卒採用のどちらを進めるのかによって方針は大きく異なります。
新卒採用の場合には、どのような企業なのか、どのような教育体制があるのか、休日休暇はどのくらいあるのかなどが発信する情報のメインになります。
新卒採用のターゲットは、社会人経験がなく、一般的なビジネスマナーや実務能力がない学生が対象になります。そこで発信する内容も、広く一般的な情報になります。
一方で中途採用の場合には、どのような仕事を任せられるのか、どのような方針で経営をしているのか、仕事の裁量はどのくらいあるのかをメインに情報発信します。
中途採用の場合には新卒とは違い、ある程度の社会人経験が見込まれます。
そのためある程度のビジネスマナーや実務能力、そして経験をどのように活かせるのか、それが企業の方針とどの程度マッチするのかなどが大切になります。
採用広報のメリットは
採用広報のメリットは、カルチャーフィットする人材の採用がしやすくなる点にあります。
求人媒体に掲載し、応募を待つだけの場合には、様々な応募者が集まりますが、求める人材ばかりではありません。そのため選考にも非常に手間がかかりますし、その分の人的コストも掛かります。
その点に着目し、解説していきます。
ターゲットとなる人材を獲得しやすくなる
まず、ターゲットとなる人材を獲得しやすくなることが挙げられます。
これまでの採用手法では様々な応募者を集めることはできても、本当に求めている層からの応募は総応募数の中の数割程度にとどまっていることが多く見られました。
そのため採用活動には多額の費用と人的コストがかかることになっていました。しかし、採用広報により自社の情報や求める人材像をより詳細に発信することにより、ターゲットとなる人材を獲得しやすくなりました。
多くの場合、求人媒体には文字数制限や各種フォーマットが決まっており、自由な情報発信をすることができませんでした。
しかし、自社のメディアを使用する採用広報では、そうした制限もないため自由な情報発信が可能です。それにより、従来の採用手法よりもターゲットとなる人材を獲得しやすくなりました。
カルチャーフィットしやすい人材を獲得できる
次に、カルチャーフィットしやすい人材を獲得できることが挙げられます。
採用広報により、自社のカルチャーや働き方、考え方などを積極発信することによって、自社が何を大切にしているのかなどを事前に理解してもらうことが可能です。
そのためカルチャーフィットしない場合にはそもそも応募をしてこない可能性が高くなり、結果的にカルチャーフィットしやすい人材の獲得が可能になります。
会社の価値観を共有できる
最後に、会社の価値観を共有できることが挙げられます。会社が何を大切にしていて、なにを目指しているのかということは、社員として働く上で非常に大切になります。
多くの場合、ミッション、ビジョン、バリューなど経営理念を主軸として経営をおこなっているため、それらをもとに情報を発信すると良いでしょう。
会社の価値観に合わないと働くこともつらくなり、早期離職につながる可能性も高まります。そこで事前に会社の価値観を発信し、納得した上で入社してもらうことはとても大きなメリットになります。
採用広報活動の必要性は高まる
人材不足が進み、人材獲得競争の激化が今後も続くことが予想されており、各社しのぎを削ることは必至でしょう。
そのような中、採用広報活動の必要性はこれまで以上に高まっていきます。
待ちの採用から攻めの採用に切り替わり、これまで以上に求職者へのメッセージが大切になるため、いち早く採用広報を採用活動に取り入れることが大切です。
採用広報を目にする機会は増えましたが、しっかりと導入している企業はまだまだ多くありません。そこでいち早く採用広報を取り入れることにより、他社に差をつけることが可能です。
そしてノウハウを蓄積しておくことにより、その制度はますます高まります。採用活動は一生なくなることはないでしょうから、しっかりと採用力をつけておくと良いでしょう。
まとめ
今回は、採用広報活動についてさまざまな角度から紹介してきました。人材獲得競争の熾烈化、早期離職の増加により、これまで以上に採用活動の難易度は上がっています。
そのため、どれだけ効率的に、そして効果的な採用をおこなえるかが企業経営の生命線になります。
そこで重要な役割を担うのが、今回解説をおこなった採用広報です。今回の記事を参考に、自社の採用広報を見直してみてはいかがでしょうか。