今注目される「採用ブランディング」のメリットとデメリットを紹介

採用活動において、これまでの主流は求人広告の掲載や人材紹介でした。求人広告を出せば採用できるという時代ではなく、いかにして求職者に選ばれるかが大切になっています。

そこで最近では、採用ブランディングをすることで、求職者に対し魅力づけをおこなう企業が増えてきました。自社をブランド化することにより認知度を高め、求職者に選んでもらうことが目的になります。

今回は、採用ブランディングについて、なぜ注目されるのか、そのメリットデメリットについてご紹介します。

なぜ採用ブランディングが注目されるのか

なぜ採用ブランディングが注目されるのか

採用ブランディングが注目される理由として、人材の獲得競争が激化していることが挙げられます。その背景には、「少子高齢化」「Webの発達」があります。

現在日本では、少子高齢化の波により、働く世代が減少傾向です。一方で、企業としては人材確保を進めたいため、人材の獲得競争が始まります。採用活動をおこなう企業の数に対し、働きたいという人口が少ないため、一人あたりの倍率が高くなります。

また2000年代前半に起こったITバブルの崩壊と2008年に起こったリーマンショックにより、多くの企業が新卒採用を停止しました。そのため企業内で人材の空洞化が起こり、人材が不足している状態なのです。

そしてWebが発達したことにより、今までよりも手軽にそしてスピーディーに情報を発信できるようになりました。これにより、それまで求人広告がメインだった採用市場に大きな変化が起こり、自社で魅力的な発信をおこなう企業が増えてきました。

採用ホームページを自社で運営するだけでなく、TwitterやInstagramなどのSNSを採用活動に導入し、採用ブランディングをおこなう企業も増えています。

優秀な人材の取り合いが激化している

少子高齢化の波とWebの発達により、採用ブランディングをおこなう企業が増え、採用活動における競争はますます激しくなっています。定年制の撤廃を導入する企業も増え、終身雇用制度も崩壊した現代では、求職者の選択肢に転職も浸透しました。

従来であれば新卒入社した会社で生涯働き続けるのが一般的でしたが、最近では転職をする人も珍しくありません。つまり一定の能力がついた場合や企業文化が合わない場合など、求職者が転職を選択するハードルが下がったと言えます。

さらには売り手市場が続いている状況下のため、有効求人倍率も高くなっています。そのため各企業で一人の人材を取り合うという構造が出来上がっているのです。

なぜ採用ブランディングで優秀な人材を採用できるのか

なぜ採用ブランディングで優秀な人材を採用できるのか

採用ブランディングの目的として、「自社の魅力を発信することで、自社を認知してもらい、入社したいと思ってもらう」ということがあります。つまり自社をブランドとして認知してもらい、求職者が入社するための動機づけをおこなうということです。

これまでは求人広告に求人票を掲載するのが一般的な採用活動であり、求人媒体のルールに沿った求人票しか出せない状況でした。そのため掲載期間の縛りや文字数の制限、文章のフォーマットの制限があるため、伝えたい情報を伝えきれないこともありました。

しかし、Webの発達により採用オウンドメディアが一般化した現在では、求人広告だけではなく、自社で採用ホームページを運営したり、SNSを利用したりする企業が増えています。そのため、これまでは伝えきれていなかった自社の魅力を発信することができ、求職者に対し、会社の魅力づけをおこなうことが可能になりました。

そうした採用ブランディングにより、自社の魅力づけをおこなうことはもちろん、求職者の知りたい情報を伝えることにもつながり、結果的に優秀な人材の採用につながっています。

採用ブランディングのメリットとデメリット

採用ブランディングのメリットとデメリット

採用ブランディングにより、採用活動を成功に導いている企業も多くあります。特に自社の魅力を伝え、求職者が知りたい情報を発信している企業においては、採用ブランディングを推し進めることは大きなメリットといえるでしょう。

しかし、採用ブランディングもメリットばかりではなく、デメリットもあります。採用ブランディングのメリットとデメリットを具体的にご紹介します。

採用ブランディングのメリット

採用ブランディングのメリットとしては、「採用コストの削減が可能」ということと、「自社のイメージ向上が可能」という2点があります。

まずは「採用コストの削減が可能」について説明します。これまで主流だった採用手法の求人広告の掲載、そして人材紹介会社の利用では1人を採用するのに大きなコストがかかっていました。中途採用にかかる平均コストは84.8万円/人、新卒採用にかかる平均コストは72.6万円/人となっています。

一方で採用ブランディングをおこなうことで、自社を認知してもらえば求職者の応募数を増やすことができ、母集団形成のハードルが下がります。これまで以上に応募者を獲得することができれば、採用人数も増加する期待も持てるため、結果的に採用コストの削減が可能です。また、認知度が上がり「この会社で働きたい」という求職者が増えれば、求人媒体を利用せず、自社ホームページなどで採用活動を進めることができます。そうなればより採用コストを削減することが可能です。

次に「自社イメージの向上が可能」について説明します。採用ブランディングをおこなうことで、世間に自社の魅力を発信することになります。それにより、これまで認知されていなかった自社について、求職者のみならず多くの人の目に触れさせることが可能になり、イメージを向上させることが可能です。

求職者は入社する企業を決める際には周囲にも相談をすることが多いため、求職者を取り巻く人たちにも認知してもらうことで採用活動の成功率も高まります。

また、イメージを向上させることにより、働いている社員の帰属意識も高まり、定着率向上にもつながります。

採用ブランディングのデメリット

採用ブランディングにはメリットだけではなく、デメリットもあります。まず「ブランド化するまでに時間がかかる」ということがあります。

ひとつのコンテンツをブランド化するには、しっかりとした戦略と一貫した発信が欠かせません。「どのような企業なのか」「どのような価値があるのか」、そして「どのようなイメージを持ってもらいたいのか」を考え、戦略的に進めることが大切です。

そしてそれ基づき、一貫した発信をおこないます。ここまでにも長期間を有しますが、その後ブランドが定着するまでには、さらに時間が必要です。すでに知名度がある企業の場合には採用ブランディングもスムーズですが、そうでない場合にはそうはいきません。

そのため「採用のブランド化には時間がかかる」ということを頭に入れて、長期的な視点で進めることが大切です。

また「専門的な知識が必要になる」というデメリットもあります。採用ブランディングを進めるには、採用の知識が欠かせません。現在の採用市場の動向や求職者の動向のチェックはもちろん、面接のテクニックも必要です。それに加え、市場分析や自社分析などのマーケティングの知識も必要です。

そのためすぐに採用ブランディングを導入しようとしても、なかなかうまくいきません。採用担当者がマーケティングについても学び、専門的な知識を身につけることが大切です。

まとめ

採用ブランディングが注目される理由には、現在の日本の労働市場が大きく関わっています。そしてこれからも少子高齢化が進み、労働人口の現象が考えられるため、採用活動は難航すると考えられます。

そのため早いうちから採用ブランディングに取り組み、ブランドの認知を進めることで採用活動においても優位性を確保しましょう。ブランド化には時間がかかるため、早めに取り掛かるのがオススメです。

今回の記事を参考に採用ブランディングを進め、採用活動に役立ててみてはいかがでしょうか。

松尾優希

松尾優希

片田舎に住むマーケティングディレクターであり2児の父。スーパー戦隊シリーズとウルトラマンシリーズ、ウイイレ、無双シリーズが大好き。カフェインとカロリーが好物。

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