採用担当者としては、求職者からどれだけ応募を集められるかということが大きなポイントの1つになります。これは母集団形成とも呼ばれ、採用活動の入り口にあたるものです。
母集団形成がしっかりとできないと、面接を含めたその先の選考に進めることができないため、採用活動がうまくいきません。
また、最近は少子高齢化や働き方の多様性の影響もあり、母集団形成の難易度は非常に高くなりました。そこで今回は、求職者の求める情報を整理して応募される求人情報を展開するため、いくつかのポイントを説明します。
目次
求職者が求人情報をなぜ探すのか
そもそもなぜ求職者は求人情報を探すのでしょうか。それは就職や転職に関する情報がほぼすべて盛り込まれているからです。
インターネットが普及した現代では、TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSで求人情報を集める求職者も増えてきており、それに合わせて求人情報をSNSで発信する企業も出てきました。
媒体は違えど、求人情報の発信は求職者にとって大変重要なものになります。求人情報の内容によって、企業のホームページへの滞在時間も変わり、それによって応募にも違いが出ます。
つまり求職者にとって求人情報は、自身の就職先や転職先を決めるために欠かせない情報源だと言えるでしょう。
掲載する求人情報の粒度がキモになる
求人情報は、ただ発信すれば良いというものではありません。求職者にとって、会社選びをするための貴重な情報源ですから、発信されていないよりも発信されている方が良いのは当然でしょう。
しかしながら、どの程度の情報量で発信するのか、どの程度詳しく深堀りしておくのかによって、結果に大きな差が発生します。特にこれまで働いたことがない業種や職種の場合には、情報の粒度が決め手になります。
冗長な文章になってしまうと読みにくくなり、離脱の可能性があるため、ある程度コンパクトにまとめておくことは大切です。読み疲れを防ぐことも、重要なポイントです。
しかし、あまりにも情報の粒度が粗いと求職者は情報不足になってしまい、応募につなげることができません。そのため、しっかりと深堀りし、適切な文章量で発信していくことが大切です。
次に営業職を例にして、悪い例と良い例を紹介していきます。
求人情報の悪い例
求人票の悪い例としては、情報の粒度が荒く、求められている情報がわかりにくかったり、仕事内容がわかりにくかったりするものです。
例えば、求める経験について見てみましょう。「営業経験3年以上」「英語力必須」とだけ書かれているケースがあります。これは端的に書かれていますし、わかる人にはわかるという内容です。しかし、多くの人には伝わらない内容ではないでしょうか。
営業経験3年といっても、業界や法人営業なのか、個人営業なのかによっても求めるスキルは大きくことなるはずです。求職者としても、自身の経験が活かせるかどうかわからない状態では、なかなか応募をしようとは思いません。そのため具体的に説明する必要があります。
また、英語力に関しても同様です。上記の場合には、ビジネスレベルの英語力が必要なのか、簡単な日常会話ができるレベルでいいのかによって、求職者の応募ハードルに大きな差が出ます。
求人票を作成する際には、「営業経験がほしい」「英語力がほしい」と漠然と考えてしまいますが、そこでもう一歩踏み込んで、「どのような営業経験が必要なのか」「どの程度の英語力が必要なのか」など、より具体的な情報発信を心がける必要があります。
求人情報の良い例
それでは良い例とは一体どのような求人情報でしょうか。それは悪い例とは反対に、情報の粒度が細かく、イメージがしやすいものです。比較しやすいように、営業職の求める経験についてを例に挙げましょう。
「業界は問いませんが、営業を3年以上経験した方。経営層への営業がメインになるため、法人営業の経験がある方は歓迎します」
「簡単な日常会話を英語でできる方。社内のコミュニケーションにおいて、英語を使用する場面があります」
こうした内容であれば具体的にイメージしやすく、求職者も自身の経験を活かすことができるのかどうかを判断しやすくなります。
具体的な情報が求職者の理解を深める
情報の粒度を細かくすればするほど、求職者の理解も深まり、応募につなげることができるため、その点を意識していくと良いでしょう。
求人情報を発信する際には、自社が求めるものを明確にし、そこからさらにどの程度のレベルが必要なのか、なぜ必要なのかを深堀りしていくことが大切です。
それにより情報はより具体的になり、求職者の理解を深めることにつながります。
キャリアビジョンの齟齬をなくす
求人情報の目的には様々なものがありますが、そのひとつに「キャリアビジョンの齟齬をなくす」というものがあります。採用活動にはコストも人手もかかるため、自社にマッチしている優秀な人材を確保したいと考えるのが当然でしょう。
しかしながら、キャリアビジョンの齟齬によって、退職者が発生してしまっている企業も多くあります。そこで大切なのが、キャリアビジョンの齟齬をなくすことです。
その方法にはいくつかありますが、今回は「企業の価値観の共有」「企業のカルチャーの理解」の2つを紹介します。
企業の価値観の共有
まず1つ目は、企業の価値観の共有です。
多くの企業では、ミッションやビジョン、バリューを掲げていますが、それがそのまま企業の価値観として浸透し、従業員の行動規範になっているケースが多くあります。そうした企業の価値観を適切に共有し、その情報を発信しておくことが大切です。
企業としてどの様に考えているのか、企業として今後どの様にしていきたいのかなど、企業としての価値観を発信することは重要です。求職者としても、企業の価値観を理解することができれば安心感も高くなり、入社への納得感にもつながります。
また企業の価値観を理解しておくことで入社後の早期退職の防止にもつなげることができます。これらのように採用におけるミスマッチを防ぐためにも、企業の価値観の共有は欠かせません。
企業のカルチャーの理解
ふたつ目は、企業のカルチャーの理解です。企業の価値観と似ている部分もありますが、こちらは企業がどのような雰囲気なのかといったことを理解しやすくさせることができます。
たとえば、「チームワーク重視なのか個人主義なのか」「年功序列なのか実力主義なのか」「トップダウンなのかボトムアップなのか」といった情報が挙げられます。
これらの情報を発信することで、求職者としても自分に合っているかどうかを判断できるため、ミスマッチを防ぐことが可能です。
まとめ
今回は、求職者の求める情報を整理して応募される求人情報を展開するためにいくつかのポイントを紹介してきました。求人情報は求職者にとって、会社選びをするための非常に大切な情報源です。
一方で会社にとってもミスマッチを防ぎ、自社に合う人材を採用するために欠かせないツールの一つです。そのため情報の粒度を意識しながら情報発信をおこなうと良いでしょう。
今回の記事を参考に、自社の情報発信についてあらためて考えてみてはいかがでしょうか。