採用広報の今後は、Z世代への共感が欠かせなくなります。
なぜなら、
- これから新卒、中途で入社してくる世代の多くがZ世代
- Z世代は、価値観や考え方がこれまでの世代と大きく違う
からです。
ミレニアル世代(1983年〜1995年生まれ)や、Y世代(1981年〜1995年生まれ)と同じような採用方法では、どんなに魅力的な企業であったとしても、Z世代に伝わりません。
少し厳しい言い方ですが、そのままでは「若い世代からの応募が集まらない……」なんてことになりかねませんよ。
若い世代の中から、優秀かつ自社とマッチする人材とのご縁を望むのであれば、Z世代を理解していく必要があります。
目次
Z世代とは
Z世代は、1996年から2015年に生まれた世代。「デジタルネイティブ」とも呼ばれています。
理由は、育ってきた時代が、スマートフォンやSNSが当たり前にあったから。
そしてZ世代には、情報が手軽に入手できる社会で育ったデジタルネイティブだからこその特徴も見られます。
Z世代の特徴
Z世代の特徴は、大きく分けて2点挙げられます。
特徴1:無形価値を大切にしている
Z世代は、日頃からモノや情報に溢れた環境で育っています。
そのため、目にみえるものの価値よりも、目に見えないものの価値に対して関心が高い傾向が見られるのです。
この「目に見えないものの価値に関心が高い」という点が、がこれまでの世代と大きく違います。
たとえば、企業に対して
- 自分はここで成長できるのか
- どんな事業をしている企業なのか
- 副業やキャリアアップはできるのか
といった価値観を持っています。
その分
- 企業の規模、知名度をあまり意識しない
- 福利厚生、終身雇用にあまりこだわらない
といった傾向も同時に見られます。
まったくこだわらない訳ではありません。
ですが、自分のやりがいや、仕事から得られる幸福度、といった点を重視しているのがZ世代なのです。
特徴2:WEB上での情報収集に抵抗がない
Z世代は、SNSやインターネットで情報収集することが当たり前になっています。
企業の情報収集でも、これらのデバイスを活用していることがほとんど。
具体的には、
- 企業のSNS
- WEB説明会
- バーチャルオフィスツアー
- 採用ページ、企業評価サイト
などが挙げられます。
インターネットやSNS上で情報収集するため、直接企業に足を運ぶ機会が多くありません。
極論ですが、Z世代は生まれたときから情報収集に困っていないのです。
ですが、Z世代の多くは、実は文字コンテンツが苦手、不向きである、という点も見られます。
理由は、画像や動画への関心が高いからです。
画像や動画であれば、文字を読むよりもスーッと頭に入りやすいですよね。
つまりZ世代は、インターネット上で情報収集はするけれども、
- 集中力が短い
- 情報収集にかける時間が短い
- パッと見て、分かりやすい情報が良い
といった点も挙げられるんです。
だからこそ、採用広報の情報発信にもひと工夫が必要なのです。(後の項目で具体的にお伝えしますね)
Z世代に効く採用広報のポイントとは
多くのZ世代に、自社への関心を持ってもらいたいのであれば、Z世代が共感できるように情報発信していきましょう。
そのためには、下記の内容を発信していくべきです。
- 企業理念
- 実際の仕事内容、社風
Z世代は給与や企業の規模、知名度といった形のある価値よりも、目に見えない価値である企業理念や社内の雰囲気を重要視しています。
これまでの採用活動では、給与や勤務地、企業の規模などのみをアピールした求人情報であったとしても、応募数を集められていました。
ですが、Z世代は給与や企業の規模を重視していません。
Z世代が見ているのは、目に見えない価値です。
たとえば、
- 体験重視:自分の成長につながる経験ができるか
- コスパ、タムパ重視:お金、時間、労力にムダが無いか
- 多様性を受け入れるか:縛られた価値観を強要されないか
といった形のないもの。これこそが、Z世代が大切にしている価値観です。
Z世代は、感動、共感、感化できるものが「ここにはない」と判断すれば、その企業に対して魅力を感じなくなってしまいます。
企業理念の「ビジョン」「ミッション」「バリュー」
目に見えないものをどうやって発信していくのか。
その答えの1つが、企業理念です。
理念そのものを打ち出す情報発信は、かえって逆効果に。
なぜなら、具体性が見えず、Z世代に伝わりにくくなるからです。
企業理念を発信していくのであれば、象徴的に伝えていきましょう。
具体的には
- ビジョン:目指す世界観
- ミッション:使命や任務
- バリュー:価値観や行動規範
これらを通して発信することで、企業としての「あるべき姿」を伝えられるようになります。
たとえば、若手でも活躍しているという企業としての魅力を発信するのであれば
「若手でも、大プロジェクトのマネージャーを担っています!」
といったように「〇〇(どんな人)が、△△(何を)な仕事を任せられる」と訴求することが大切です。
結果、Z世代にとって共感や賛同を得やすくなります。
また、Z世代は「会社や仲間たちから認められたい」という傾向が、他の世代よりも強く見られます。
そのことから「プロジェクトリーダーを任される」など、ある種の承認欲求が満たされる機会が増えることで、その企業で働く幸福度につながりやすくなるとも考えられます。
結果的に、業務へのモチベーションUPにつながり、帰属意識や企業へのエンゲージメント向上も期待できると言えますね。
実際の仕事内容、社内の雰囲気や社風についての情報
Z世代は、企業の規模や給与、福利厚生よりも、
- やりがいを感じられるか
- 感動できるか
- 共感できるか
を大切にしています。
そのため、採用広報の情報発信として必要なのは、
- 仕事内容
- 社内の雰囲気
- 社風、既存社員の様子
を、わかりやすく伝えていくことです。
たとえば「休憩中はこんな様子です」 「普段、従業員はこんな感じで仕事をしています」といった具合に、社内のリアルをわかりやすくコンテンツ化して発信していきましょう。
それも、Z世代に馴染みのあるツールで発信してことがポイントです。
採用広報の情報発信方法
Z世代に企業のことを知ってもらいたい。
であれば、Z世代に馴染みのあるツールで情報発信していくことが基本です。
具体的には
- オウンドメディア
- ポータルサイト
- ソーシャルメディア
を指します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
オウンドメディア
オウンドメディアは、自社が所有、運営するWEBサイトやブログなどのメディアを指します。
コンテンツをストックしていき、情報発信していく媒体になります。
Z世代が採用情報を集めるときは、企業サイトから直接探すことも少なくありません。
そのため「欲しい情報が、必要なときに見つかる場所」になるよう、未来の求職者に向けてコンテンツを充実させていくことが必要です。
たとえば、
- 企業の魅力
- リアルな社内風景
- どんな人材を求めているか
- 求職者へのメッセージ など。
動画や記事などを通して、コンテンツを充実させていくのがポイントですよ。
単なる「今、〇〇を採用しています、応募はこちらから」という採用窓口的な役割を持つだけでは、十分ではありません。
ポータルサイト
ポータルサイトを活用して採用広報を行うことも可能です。
ポータルサイトとは、インターネット上にあるWEBページの、入り口となるWEBサイトを指します。求人、採用ジャンルで言えば、
- エン転職
- リクナビ
- Wantedly
などのポータルサイトを活用していくことで、採用広報にも有効だと考えられています。
理由は、これらのポータルサイトであればZ世代の中で知名度が高く、かつ自社への集客効果が高く見込まれるからです。
ポータルサイトをきっかけに、自社を知ってもらうことができます。
さらにオウンドメディアへ誘導し、オウンドメディアに求職者へ向けたコンテンツを充実させておくことで、より自社の魅力を伝えることも可能です。
そのため、ポータルサイトにも、自社の魅力が伝わる情報をある程度掲載しておくと効果的です。
ソーシャルメディア
ソーシャルメディアは、Z世代に向けて情報発信していく上で欠かせない存在です。
具体的には、
- LINE
- note
- Tik Tok
- YouTube
などが挙げられます。
採用広報として発信していくのであれば、企業公式アカウントとして運用していくことになるでしょう。
あるいは「企業の中の人」という具合に、日々のリアルな社風を発信していくことも非常に有効です。
リアルタイムかつ、動きのある生きた情報を発信することになるため、情報を見た人との距離感をグッと縮められます。
Z世代の関心を高めるには、ソーシャルメディアありきだと心得ましょう。
まとめ
Z世代に共感してもらうための採用広報の情報発信は、以下を意識しましょう。
- Z世代は、目に見えないものに価値を感じている
- Z世代は、インターネットでの情報収集に長けている
- Z世代に企業の魅力を伝えるには、共感を意識したリアルな情報を発信していくこと
Z世代は、インターネットを手足のように使います。
そのため、採用チラシや、街看板、あるいは企業説明会のみでの情報発信はあまり適してはいません。
採用情報を集めるために、わざわざ採用雑誌を取り寄せたり、企業に直接足を運ぶ機会があまりないからです。
一方で、企業は継続的に情報発信を継続していくことがとても大切です。
発信し続けていくことは、大変かもしれませんが、そうした努力なしには、Z世代に正しく適切にアプローチすることが難しくなってしまいます。
そのため、採用広報は、時代と世代に合わせて取り組んでいくことが大切です。