産休・育休を理解して女性社員が働きやすい社内環境


女性の社会進出もめざましく、夫婦共働き世帯も増加するなど、女性を取り巻く働く環境は大きく変化しています。

世界には女性が活躍する企業も増え、いくつかの企業では女性の役員も誕生しています。

今後も女性の活躍は期待できる一方で、女性が働きやすい環境を整備することも大切です。

働きやすい環境整備のひとつに、産休・育休があります。これらの制度をしっかりと把握し、整備をおこなうことでより女性が働きやすい企業になることができます。

今回はそうした産休・育休について詳細に解説していきます。

産休・育休について


産休と育休をしっかり理解することは、今後の女性活躍推進のためにも欠かせません。

なぜなら今後も女性の働き手は増えることが予想されますし、いかに女性の活躍を推進するかによって、業績にも大きな結果の差が生まれるからです。

これまで多くの女性は、あまり長く働くことができませんでした。

その理由のひとつに、妊娠・出産があります。数年間働いた後、妊娠・出産をする可能性がある女性は、重要なポストを与えられなかったり、そもそも採用をしてもらうことすらできないという状況がありました。

また、出産をしたあとにも育児に追われることもあり、女性の活躍を阻害する要因がいくつもあり、女性を悩ませていました。

そのためいくら実力や熱意があっても、発揮する場がないという女性が多くいたのです。

また、育児が一段落したあとに再度働きたいと思っても、長いブランクが壁になることもしばしばありました。

そこでそれらを取り払うために有効な制度が、産休・育休です。あまり詳しくない人にとっては、同じものという認識かも知れませんが、実は大きく違います。

それを理解していないと、申請があった場合や自分が使おうとしたときに迷ってしまうことも考えられます。
それぞれの違いを解説していくので、しっかり頭に入れておきましょう。

産休とは

産休とは、出産前と出産後のそれぞれの休暇を合わせたものを指します。出産前に取得する休暇は、出産の準備期間という意味合いがあり、産前休業と呼ばれます。

一方で出産後に取得する休暇は、産後の回復期間という意味合いがあり、産後休業と呼ばれます。

休める期間は出産予定日の6週間前から、出産後8週間までの合計14週間となります。ただし、産前休業は任意での取得になるため、出産直前まで働きたい場合には休みを短くすることも可能です。

そのため、出産予定日の6週間前から、開始する日にちを自分で決めることが可能です。

産後休業に関しては、母体保護のために法律で義務化されているため、働くことはできません。ただし、産後6週間を経過し、医師が認めた場合には復帰を認められます。

育休とは

育休とは、産後休業が終了した翌日から取得できるものです。

期間としては、産後休業が終わった翌日から、子どもが1歳の誕生日を迎えるまでの期間の中で、本人が希望する期間です。

産休は母体保護の目的があるため、女性しか取得できませんが、育休は男性も取得することが可能です。

育休を開始するには、取得予定の1ヶ月前までに申請することが、法律で決められています。

産休と育休を合わせた最大休暇日数は


産休と育休を合わせると、最大で2年3ヶ月程度の休暇を取得することができます。

正確には、産休の6週間と8週間、そして育休の2年間になります。

これは様々な要件をクリアした場合に取得できるものになるため、誰もがこの期間を取得できるわけではないため、その点にも注意が必要です。

育休を延長することは可能なのか

産休に延長制度はありませんが、育休には延長が認められています。

ただし、それにも条件があります。育休は通常子どもが1歳の誕生日を迎えるまでの期間ですが、子どもが保育所に入所できず、職場復帰が難しい場合には、最大で2年まで延長が可能です。

子どもが1歳になった際に保育所に入所できない場合には、まず1年6ヶ月の延長が認められます。

1年6ヶ月を迎えた時点でまだ保育所に入園できていない場合には、2歳になるまで延長が可能です。

いずれも予定日の1ヶ月前までの申請が必要なので、取得希望の場合には申請を忘れないようにしましょう。

給付金が条件付きで支給される

休暇取得中には、条件付きですが給付金が支給されます。

支給される給付金には、「育児休業給付金」と「出産手当金」の2種類があります。それぞれに条件と支給されるタイミングがあるので、しっかりと覚えておきましょう。

まずは育児休業給付金ですが、育児休業を取得していることが必要です。

さらに同一の会社で一年以上働いていること、子どもの1歳の誕生日以降も同じ会社で働き続ける予定があること、子どもが2歳の誕生日を迎える前々日までに雇用契約期間が終了し、契約更新が見込まれることが必要です。

この条件を満たした場合、出産から4ヶ月後に支給されます。一般的に2ヶ月ごとの支給になります。

出産手当金の支給条件は、健康保険に加入していること、産休中に給与の支払いがないことになります。

出産手当金の内容は、産前42日前から産後56日までの期間中、欠勤1日ごとに給料の3分の2相当額が支給されるというものです。一般的に、出産日の2ヶ月後から支払われます。

男性も育休を取得することが可能


産休は母体保護の目的があるため、女性だけの取得になりますが、育休に関しては男性も取得可能です。男性は配偶者の出産日から子どもが1歳になるまでが育休期間とされています。最近では「イクメン」と呼ばれる育児に積極的に参加する男性も多くなっているため、育休の活用も重要です。

まだまだ男性の育休は浸透していない

男性も取得可能とはいえ、まだまだ取得率は低く、男性の育休取得は浸透していません。

男性の育休取得が進めば、女性の育児負担の軽減や早期の職場復帰も可能になるなど、様々なメリットがあります

また仕事で子どもとの時間を作りにくい男性にとっても、大きなメリットと言えるでしょう。

なぜ男性の育休が浸透していないのか

そうしたメリットがあるのに、なぜ男性の育休取得が浸透していないのでしょうか。そこにはいくつかの理由があります。

例えば、「これまでに男性が取得した例がない」「男性が取得しても良い雰囲気ではない」「出世に響きそう」といったことが挙げられます。

まだまだ「仕事は男性、家事・育児は女性」という考えを持っている人も多いため、こうした考え方が残っています。

それにより男性の取得が敬遠され、取得がなかなか浸透しないという状況になっています。

今後はそうした点についても意識の変革をおこない、男性でも気兼ねなく取得できる環境づくりが求められています。

まとめ

女性や子どもを守り、そして社会復帰を支えるためにも大切な産休・育休制度。今後も女性の活躍は進んでいくため、環境整備の差が企業の様々な場面において重要になってきます。

例えば、産休・育休を取得するための環境が整っている企業であれば、女性の入社希望は増えることが考えらますし、転職も防ぐことができます。

採用は企業経営においても非常に重要になるため、その点を強化できることは企業にとって大きなメリットとなるでしょう。

他にもいくつもメリットがある産休・育休制度。今回の記事を参考に、社内の環境整備を見直してみてはいかがでしょうか。

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