労働人口の減少により、コロナ禍においても人手不足が課題となっている社会が続いています。昨今では多くの企業が求人媒体や採用支援、HRテックツールなどを駆使し、採用活動に注力しています。
これまでの企業の採用活動では、採用したい人物像や募集要件を決めたら求人媒体を利用して求職者からの応募を待つことが一般とされていました。
この採用活動により、自社に合った求職者を募れないことや早期離職が課題として明確になってきました。この課題を解決するために、選考フローの見直しや内定基準などに工夫を凝らしている採用担当者も多いかと思います。
そんな中、注目されているのが『採用広報』という施策です。
企業の採用活動に、”広報”という働きを組み合わせたこの施策は、自社の文化や価値観に共感した求職者を募ることができるとの効果が検証されており、今こそ行うべき採用施策と言えます。
当記事では、採用広報が注目されている理由やその効果について詳しく解説していきます。
目次
「採用広報活動」とは
採用広報とは、企業の採用活動に、”広報”という働きを組み合わせた採用施策のことを指します。
採用したい人物像(採用ペルソナ)に向けて自社の魅力をコンテンツ(記事、動画など)でアピールすることで、求職者はその情報を応募の判断材料として利用し、自ら企業との相性を確かめることができます。
採用広報はSNSなどと相性が良いため、一緒に使うことで顕在層だけではなく潜在層に届けることもできます。自社の”らしさ”を発信することで、差別化やブランディングにも効果的とされています。
さらに、社外には伝わりづらい価値観や文化、社内制度を採用広報で見える化することで、入社前後のギャップを埋めることに繋がり、入社1〜2年目の採用ミスマッチによる早期離職を防ぐことができます。
また、採用広報は応募数よりも応募の質を重視し、自社にマッチした応募者を募ることに特化しているため、選考フローでは求職者の方から自社の魅力を語るような場面が多く見られます。
求職者が売り手市場の今は採用広報が欠かせない
採用における売り手市場とは、求人倍率が1.0を超え求職者が1社以上の求人から選べる状況のことを指します。
労働人口が減少している日本では、約40%の企業が人手不足を感じている状況が続いています。
昨今のコロナ感染症の影響により一時は求人数が減少したものの、現在は回復傾向にあり、採用の売り手市場には変わりありません。
採用の売り手市場では、とにかく人材を獲得するため応募数を稼ぐことに注力する採用活動が行われてきました。そのため企業は求人広告を出したり、いくつかの求人媒体へ掲載してきました。
しかし応募数が大量にあっても、応募の対応に追われ自社が求める人材に出会えない、探しだせない、採用しても早期離職してしまうといった採用担当の負担が叫ばれてきました。
そこで採用担当者の負担をかけずに、自社にマッチした人材を採用するための施策として、採用広報という採用施策が注目されています。
なぜ採用広報が必要とされているのか
近年、採用広報を行う企業が増加しており、採用広報を行う前と比べて高い定着率を実証してます。
なぜ今それほどまでに採用広報が必要とされているのかというと、
- 採用の売り手市場により、最終的に就職したい1社に選んでもらうため
- 情報が溢れた環境で育った若い世代の求職者は、リアルで日常的な情報を求めているため
- 採用することがゴールではなく、エンゲージメント高く定着する人材に出会うため
という3つの理由があります。
求人広告や求人媒体を利用するなどして、コストをかけて応募数を増やすことは容易ですが、その応募数への対応で採用担当者の負担が増えて、採用したい人材を獲得できなければ意味がありません。
採用広報とは、採用したい人物(採用ペルソナ)に向けて自社の魅力や文化、雰囲気などを発信することで求める人物像を可視化させるものなので、募集要項として使うことができます。
採用広報の情報を確認した求職者は、自分と企業との相性を自ら判断できるのでマッチしない人材からの応募を防ぐこともできます。
採用広報の担当者は人事?広報?
採用広報は、全社員が兼任して行うことが好ましいです。
採用広報を採用担当・広報担当のみで行うと、
- 社内の協力が得られない
- 継続できない、後回しになってしまう
- 広報企画が枯渇して誇張してしまう
という事態につまずくことがあります。
全社で行うことで、新卒にしか書けない記事、エンジニアだから書ける記事などが生まれ、多角的な採用広報が可能になります。さらに求職者が読んだときに社内全体を深く理解することに繋がります。
また、採用広報を継続すると既存社員へ良い影響がみられます。
既存社員が採用広報に携わる(記事を書く、読む)ことで改めて自社の理念やビジョン、価値感を再認識し、自社に対するエンケージメント(愛着)が高まります。
”この会社で働く理由”が明確になると企業に一体感が生まれ、インナーブランディングの効果をもたらすことができます。
採用広報活動で有効なツールは
採用広報はSNSや採用広報に有効なツールを使うことで顕在層以外の潜在層の求職者の興味・関心を惹くことができます。
採用広報を届けたい世代や層、募集する職種によって適しているツールをご紹介します。
Twitterは、日本での月間アクティブ数は約4,500万人と影響力もあり、若年層から中年層まで幅広く利用されているSNS。
特に若年層はTwitterで情報収集をすることに慣れているため、就職活動においてもよく利用します。
利用料金は一切発生しないため、コストを抑えた採用広報を行うのに最適なツールです。
Wantedly
2021年時点で4.5万社以上が利用しているビジネスSNS。
給与や待遇などの条件を掲載することは禁止されており、ミッションや価値観などをアピールできる記事ストーリー機能が備わった、共感採用を目指す採用広報ツールです。
エンジニアやデザイナー、セールス、マーケティングなどの採用に向いています。
note
ワードプレスと違い、HTMLなどの編集知識が必要なく誰でも簡単に執筆、発信ができるコンテンツプラットフォーム。
その手軽さからnoteを利用して採用広報を行う企業が年々増加しています。利用ユーザーは学生やフリーランスの割合が多く、新卒採用に向いていると言えます。
有料機能もありますが、無料機能でも十分に採用広報が行えるツールです。
まとめ
今回は、近年注目されている採用広報についてご紹介しました。
採用広報では、採用したい人物に向けて自社の魅力(企業理念、人、事業、待遇など)を発信することで、無駄な工数をかけずに自社とマッチした人材を採用できる施策です。
今後もしばらく採用の売り手市場は続くと予想されており、さらに積極的な採用活動は必要とされることでしょう。
やみくもに求人広告をうって応募数を増やす採用活動では、採用人事担当の負担が増えるのみで非効率な採用活動だという認識が広がっています。
早いうちからコツコツと採用広報を始めることで、数年後には自然と自社にマッチした人材からの応募を集められるようになります。
また、採用広報は社外への発信のみではなく、社内への発信でもあります。全社で採用広報に注力することで既存社員のエンゲージメントやモチベーションの向上をはかることができます。
ぜひ当記事でご紹介した採用広報を行う際の有効なツールを利用し、自社にマッチした人材の獲得とインナーブランディングが同時に叶う採用広報を始めてみましょう。