当記事では「採用活動を効率良くおこないたい」「リファラル採用を取り入れたいけど方法がわからない」という方に、リファラル(社員紹介)採用について解説していきます。
当記事では以下の理解が深まります。
- リファラル採用のメリット/デメリット
- リファラル採用を成功させるためのポイント
昨今の企業がおこなう採用活動の中で、リファラル(社員紹介)採用が注目されています。
注目されている理由は、採用にかかるコストと時間を極力おさえながらも、既存社員と繋がりのある人材(=社内に馴染みやすい人材)を獲得しやすいとされているためです。
その背景には現代の採用情勢における、
- 売り手となる求職者が買い手である企業よりも少なくなったことで、人材獲得の競争が激しくなっていること
- ミスマッチによる早期離職が多いこと
が挙げられます。
今回は、採用活動の中で注目されているリファラル採用について、メリット、デメリット、成功のポイントなど、幅広く解説していきましょう。
以下記事では「即戦力になる人材を採用するポイントは?優秀な人材を見つける方法」についても解説しています。
リファラル(社員紹介)採用とは
リファラル採用とは、リファラル(referral)=紹介、推薦という意味から、既存社員に人材を紹介してもらう採用方法を指します。
勤務状況や業務内容をよく理解した既存社員が人材を紹介することで、企業とのマッチ度・定着率が高くなる傾向が見受けられます。
また、求人メディアへの掲載費用が抑えられる点からも注目されています。
リファラル採用は、日本で注目される前はアメリカでメジャーな採用方法でした。
アメリカでは2011年〜2021年でもっとも多く取り入れられた採用方法で、コストパフォーマンスが良く、ミスマッチが起きにくいことが認知されてから日本でも広まりつつあります。
参考サイト:https://referral-recruiting.co.jp/what_is_best_referral_programs
なぜリファラル採用を導入する企業が増加しているのか
日本でリファラル採用が広がっている理由は、おもに2つ挙げられます。
- 売り手市場による人材不足を補うため
- 企業への適性や希望の不一致を防ぐため(ミスマッチ防止)
少子高齢化による人材獲得の競争が激化している中、求人サイトやコーポレートサイトから求人を募るだけでは人材確保が難しくなっています。
そのため人材確保の手段を増やそうと、リファラル採用を取り入れる企業が増えてきているのです。
同時に、リファラル採用であれば、採用のミスマッチ防止の効果も期待できます。
ミスマッチとは、入社後にギャップを感じてしまい、仕事へのモチベーションが低下し、結果的に早期退職に繋がってしまうことを指します。
求人サイトやコーポレートサイトから求人を募る採用方法だと、応募者の中から「自社に合う人は誰か」と、人事担当者が多くの時間をかけて見極めなくてはなりません。
人事担当者だけでは、採用のミスマッチが少なくなることはありません。企業全体で協力して採用活動を行うことで、採用のミスマッチを少なくしていくことができます。
その点リファラル採用であれば、
- 自社の業務内容や勤務スタイル
- 紹介したい人材の人柄やスキルなど
の両方をよく知る既存社員が間に入ることになります。
その結果、低予算でミスマッチしにくい状況で採用が実現できることから、リファラル採用を取り入れる企業が増加しているのです。
リファラル採用のメリット
リファラル採用のメリットは次のとおりです。
それぞれ詳しく解説していきます。
リファラル採用のメリット①:採用フローが簡潔になる
具体的には、以下が実現しやすくなります。
- 求人セミナーや選考フローを減らせる
- 人事・採用担当者の負荷を大きく減らせる
- 内定承諾者に対応する時間を増やせる
既存社員が人事・採用担当に直接人材を紹介することで、必要最低限の面接(人事面接・役員面接など)や企業説明(オファー説明)だけで済むことも可能になります。
その分ほかの採用活動にリソースを費やせるなど、人事採用担当の負担軽減にも繋がります。
同時に、内定承諾者への入社後の案内メール、電話、入社前の必要資料配布などに余裕を持って取り組めるようになるでしょう。
リファラル採用のメリット②:採用のミスマッチを防ぐ
前項でもお伝えしましたが、リファラル採用の肝とも言えるのが入社後のミスマッチを防ぎやすくなる点です。
具体的には、
- 企業の社風や価値観に適した人材を集めやすくなる
- 紹介者がいる環境で働けるためオンボーディングがスムーズに行える
などの効果が期待できます。
リファラル採用が”マッチ度の高い人材を集めやすい=ミスマッチを防ぎやすい”とされる理由は、自社が求める人物像について、あらかじめ既存社員に伝えられるためです。
自社がどんな人材を欲しているのかが分かっていれば、既存社員も「〇〇(知人)なら自社に合うだろうな」と、紹介しやすくなります。
結果、紹介された人材は、前もって社内の雰囲気や社風をある程度理解した上で入社することになります。
一般的な求人サイトを通して入社した人材よりもギャップを感じにくく、入社後も長く在籍してくれることも期待できるでしょう。
リファラル採用のメリット③:転職市場に出ていない人材に出会える
リファラル採用は、一般的な求人サイトを通していません。
そのため、転職を考えていない優秀な人材にアプローチができる点もメリットとして挙げられます。
今転職を考えていない人でも、他企業で働く友人・知人からの誘いを受けたり、ヘッドハンティングされたその時に「応募してみようかな」と、考え直すケースも実は多いのです。
人材獲得競争が激しくなっている中でただ闇雲に人材を探し続けるよりも、求める人材を獲得しやすくなる点は、リファラル採用の大きなメリットとも言えるでしょう。
リファラル採用のデメリット
リファラル採用はメリットばかりではありません。デメリットについても理解しましょう。
リファラル採用のデメリットは、以下が挙げられます。
- 不採用における人間関係の悪化
- 人材の同質化
対策方法も合わせて詳しく解説します。
リファラル採用のデメリット①:不採用における人間関係の悪化
もし紹介された人材が不採用となった場合、紹介した側と紹介された側の人間関係に何らかの影響がでてしまう可能性もゼロではありません。
リファラル採用は、既存社員からの紹介ですが、必ずしも採用されるわけではありません。
紹介する側、される側の両方が、事前に「不採用の可能性もある」旨を十分に理解しておくことが大切です。
同時に、採用が決定していないのに、採用が決まっているかのような会話をするのも避けましょう。
リファラル採用のデメリット②:人材の同質化
リファラル採用ばかりを取り入れてしまうと、社内の価値観が偏ってしまう可能性が大きくなります。
つまり、多様性を受け入れづらい環境になり得る、ということです。
価値観が一致している社員同士が集まれば、組織力が向上し、チームワークも良くなるでしょう。
しかし、同じような考えの人材が集まるだけでは、新しい思考や斬新な発想、議論が生まれにくくなってしまう点が挙げられます。
その対策としては、価値観や人柄、個人の考えは違うものの、企業が掲げるビジョンに対しては共感し、同じ志を持とうと思っている人材を見極めていくことが大切です。
リファラル採用を成功させるためには
ここから先は、リファラル採用を成功させるポイントを解説していきます。
具体的には以下のとおりです。
- 求める人物像を社内に共有する
- 紹介者の負担を減らせるよう紹介の際の手順をまとめる
- 社内の取り組みを定期的に発信する
- 紹介特典の導入
詳しく解説していきます。
求める人物像を社内に共有する
どのような人物を求めているのか、社内で共有していきましょう。
共有していくことで、以下の効果が期待できます。
- リファラル採用が活発になる
- 紹介者する社員と企業側の認識のギャップを埋められる
- 紹介者は、紹介する人材を見極めながらアプローチできる
リファラル採用が活発化されることで、紹介する社員も「企業の人材確保に貢献している」と感じられるようになるでしょう。
また「良い人材が入社してくれた」と、企業側から紹介した社員に感謝の意を示すことも大切です。
リファラル採用に協力した社員も、仕事へのモチベーション向上やエンゲージメントがより高まることも期待できます。
紹介者の負担を減らすために、紹介の際の手順をまとめる
リファラル採用を取り入れるのであれば、紹介する一連の流れを仕組み化しておきましょう。
例えば、紹介したい人材がいたら
- 上司、または人事に相談する
- 必要な書類を提出する(申請書が必要か、あるいは直接履歴書か)
- 連絡手段について確認する(LINE公式を通して紹介、など)
- 紹介特典について話しておく
といったように流れに沿ってルールを作っておきましょう。
「良い人がいたら紹介してほしい」といった案内のみだと、具体的にどう行動したらいいのか分かりません。
面倒に感じてしまい、せっかくの優秀な人材を確保するチャンスを失いかねません。
そのため、分かりやすく仕組み化し、全社員へ共有しておきましょう。
紹介したい社員が次のアクションを把握しておくことで、スムーズなリファラル採用が実現できます。
後に詳しく解説しますが、紹介した社員に何らかの紹介特典を設けると、リファラル採用が活発化しやすくなります。
とある企業では、紹介された人材が入社後1年在籍していた場合、紹介した側に6ヶ月後に数万円、12ヶ月後に数万円といった形で報酬が支払われるケースも挙げられます。
「報酬分のコストがかかるのでは」と懸念する方もいるかもしれませんが、求人サイトへかける掲載費用と比べると、はるかにコストカットに繋がります。
社内の取り組みを定期的に発信する
ブログやSNSなどを通じて、社内の様子を発信していくと良いでしょう。
リファラル採用を行っていく際、企業としての信頼度も当然大切になるためです。
紹介された側は、知り合いから「うちにこないか」と紹介されたあと、会社のホームページ、コーポレートサイト、SNSを通して情報収集するでしょう。
その際、コーポレートサイトやSNSから社内の様子が分”か”らないと、企業に対して不信感を抱いてしまう場合もあります。
そのため、日頃から採用広報の活動として、社内の雰囲気、企業理念や大切にしていること、失敗談など、発信し続けていくことが大切です。
採用広報について詳しくは以下の記事で解説しています。
紹介特典の導入
紹介特典も導入しておくと、リファラル採用がより活発化しやすくなるでしょう。
例えば、
- 紹介した社員に報酬が支払われる
- 報酬額相場は1万円〜30万円の企業が多い
- 報酬は紹介された人材が入社数ヶ月〜1年経ったころに支払われる
などのスタイルで取り入れている企業が見受けられます。
紹介特典があると分かれば、紹介する社員もより真剣にマッチ度の高い人材を見極めようとするでしょう。
しかし、紹介特典を取り入れる際は「就業規則への明記」と「高額にならない報酬設計」が必要になります。
その際、改正されやすい職業安定法や労働基準法をその都度確認しながら設計していきましょう。
改正される度にリファラル採用の紹介特典の内容を見直していく必要があります。
まとめ
効率よく人材確保をしていきたいのであれば、リファラル採用を取り入れてみましょう。
リファラル採用であれば、
- 激しい人材獲得競争の中でも人材獲得ができる
- 入社後のミスマッチを回避しやすくなる
- 採用コストがカットできる
といった効果が期待できます。
また、リファラル採用を取り入れる際は、
- リファラル採用のフローを仕組み化する
- 欲しい人材について共有する
- 価値観の同一化に気をつける
- 採用広報に力を入れる
- 紹介特典を設ける
これらに配慮すると良いでしょう。
リファラル採用は、これまでの求人サイトを通して採用する手法に比べ、低コストかつミスマッチを防げる点がメリットです。
ということは、リファラル採用を取り入れる企業が今後より増えていくことが予想されます。言うなれば、人材の取り合いが生じることも予想されるでしょう。
であれば「いかにして自社を選んでもらえるか」といった企業努力が欠かせなくなります。
制度設計だけでなく、企業文化の共感・浸透・リアルさ、そしてそれらを発信していく継続力が必要になっていきます。
既存社員が「一緒に働こう」と心から紹介できるように、企業をよ〜く見せる施策も、これからの企業に必要なのではないでしょうか。リファラル採用を取り入れるのであれば、ぜひともそうした活動にも力を入れてみてください。
とは言っても「今のままでは手が回らない」と、感じている企業様もいるでしょう。であれば「部分的に外部へ委託する」という選択肢もあります。
リファラル採用と企業をよく見せるための施策すべてを自社で行う必要はありません。
まずはお気軽にお問い合わせください。